転職したら、精神的自立を手に入れた話
こんにちは、つなです。
転職って怖いですよね。
私は、てっきり世の中は終身雇用でまわっていると大学生まで思っていたお気楽人間で、
転職なんてものは世界の一部の人がしているものだと思っていました。
しかしそんな私が紆余曲折あり、転職をしました。
まだ転職して1か月も経っておらず、転職先では何者にもなれておりません。
でも、確実に自分の中の何かが変化しました。いい方向に。
この記事では、
- 国立大学理系修士卒
- 新卒で大手日系メーカー(研究職)に就職、3年間勤務
- メーカー在籍中に社会人博士課程にて博士号を取得
- 小規模特許事務所へ転職して2週間経過←Now!!!
以上の経歴を持つ私が、「転職という経験そのもの」が私にもたらしてくれたものをシェアします。
転職を悩んでいる方や、転職前の私が感じていた不安と同じものを感じる方の参考になれば嬉しいです。
漠然としたキャリアへの不安
入社1か月目からぼんやりとした不安を抱え、3年目まで抱え続けておりました。
私が芥川龍之介だったら、自死していたかもしれません。
このままではいけないという焦燥感と、将来への不安について、まずは細分化して考えます。
終身雇用に対する不安と、研究職ならではの不安と、の2つがあったと思います。
①日系企業にいることへの不安
「日系企業にいることへの不安」と括るのは乱暴ですが、一般的に日系企業にいる人が抱きやすいと思われる悩みを挙げます。
一生この会社で勤めることは不可能だということを悟ったことから、私の不安は始まりました。
私が働いている3年の間にもグローバルを含めた大規模な希望退職に加え、一部の社員に対しては退職勧奨が行われました。
若手の私は実質的に希望退職の対象でなかったものの、
自部署でお世話になっているマネジメントやシニアの研究員は対象に入っていました。
なかなかにシビアですが、
社内外にコネクションを持ち、研究者としても大変優秀な先輩方については、「転職先を決め、希望退職に手を挙げた」という噂が早々に流れる一方で、
「今更行くところなんてないよ…」と嘆く先輩方も多く、その先輩方は会社に残られました。
もちろん、全ての先輩方がネガティブな気持ちで会社に残られたとは思いません。
大変失礼なことを承知の上ですが、このような状況を見ていた私は
「企業は60、70まで雇ってくれない。40台後半が実質的な定年。その歳に自分は選択肢を持っていたい。」
と強く思いました。
ただ、どういう仕事を積めば、社外で通用するスキルが身に着くかわからず、悶々とした日々が始まりました。
第二に、何を対価に自分が給料をもらっているかわからないことです。
研究自体は直接金銭を生み出しません。
製品搭載に至らないこともありますから、金食い虫である可能性も高いです。
自分の給与の対価がどのように算出されているか、根拠がわかりづらい不安がありました。
部署の性質上仕方なく、当たり前なのですが。
それに加えて何より不安だったのは、「大手企業で働いていること」それだけで得るインセンティブが、自分の給与のうち占める割合の中で高いと感じたことです。
自分の給与が自分で説明できない、即ち自分の価値を説明できないことは、
私にとって、己の価値を見失い不安に陥るには十分な材料でした。
最後に上げるのは、本来すべき仕事以外に費やす時間や心の消耗が多いことです。
私は研究職として勤めていましたが、本来すべき「研究、技術開発」という仕事以外に、様々な事務処理、社内稟議、会議、担務に圧迫されていました。
達観ですが、業務の4~5割はおよそ効率的とは言えない業務に費やしていました。
もちろん組織として働く以上、これらの業務を無視できませんし、誰かがやらねばいけないと理解しています。
ただ、こなす膨大な仕事の割に、のれんに腕押しの感覚に、少しずつ擦り切れていきました。
また、こういった状況に対する同僚の愚痴にも消耗していたと思います。
愚痴も必要なときがあります。
ただ、やはり繰り返し変わらない愚痴を聞くと、知らず知らずのうちに、心は摩耗するものです。
②企業研究職としての不安
私は研究職という職種だったのですが、他の職種に置き換えても通づるところはあるかもしれません。
第一に、企業研究職という職種のニッチさに悩みを抱えていました。
研究職というのは、高い専門性を持って働け、技術に精通し実績を積めば他企業でも通用するもの(食い扶持があるもの)と思っていました。
しかしながら、製品への応用を前提としたあらゆる制約がかかった中で研究開発をしますので、
扱う要素技術や技術の展開の仕方はかなりニッチなものになりました。
製品化の一歩手前の要素技術を扱う研究所にいてさえこの状況で、開発センターであればもうニッチ中のニッチ、といった印象でした。
正直、食料品という同業界内での転職すら厳しいという肌感でした。
実際、「もう転職先はないな、この会社で偉くなるしか道はない…」とぼやいている5年目くらいの社員もいたほどです。
ただ、この「転職厳しいかも」という発言の背景には、当該企業がBtoCであったこと、商材が特殊、産業構造が特殊といった事情も関係したと思います。
第二の悩みは、研究職としてのスキルが身につかず、大学院のときのスキルを切り売りしている感覚があったことです。
当時の会社は、新しい技術を大学やサプライヤに求める傾向にありました。
自社で技術を蓄積し、内製化するというより、所謂オープンイノベーションを狙っていました。
実験等の作業もできる限り派遣社員に依頼することが推奨されていました。
今は一社のみで技術を作り上げることは困難ですから、オープンイノベーションは極めて重要な観点ですし、
ルーティン作業をマニュアル化して分業していくことは効率的です。
会社として、研究所としての戦略には極めて納得できました。
ただ、研究職として、即ち技術に対する深い知識と経験を有する専門職を思い描いていた私にとって、
製品に応用できる要素技術を俯瞰で組み立てていく「研究企画職」のような仕事はどうしても戸惑いがありました。
実際自分がする仕事は、社外のサプライヤや大学、研究機関に技術開発を依頼し、インハウスの実験は派遣社員に依頼し、データをまとめ、社内の関係部署と開発に向けて折衝・調整することでした。
コミュニケーションスキルなどのポータブルスキルはやや身に着くものの、
主に社内の政治関係を知り、社内ルールに強くなるばかり。
実際の技術に対する知見は、社外の研究機関から結果を聞くばかりなので、自分の血肉になった感覚がありませんでした。
修士時代の研究での経験をもとにデータを咀嚼し、社内相関図をものにして上市ルートに上げる努力をする。
社外に通用するスキルが身についている実感がなく、
自分がどんどん社会から求められない人間になっていくような不安がありました。
転職したら、全部吹っ切れた
私は、特許業務未経験で特許事務所に転職し、まだ2週間しか経っていません。
しかし、転職をしたという経験それだけで、上記の不安から解放されました。
まず、この専門性で食っていくんだという覚悟ができたことが大きいです。
これによって、自分の極めるべきスキルが明確になりました。
私は弁理士という仕事は、個人に信頼を積み重ねられ、その信頼で仕事をもらい続けることができる仕事だと認識しています。
また、技術とビジネスを相手にする仕事で、一つの会社依存的なスキルではないと信じています。
汎用性を信じられる専門性を磨いて、会社に依存せず、自分の仕事で食っていくという覚悟をしたおかげで、
定年前に会社に見放される不安、自分の仕事のスキル幅の狭さへの不安や、社外から求められなくなるのではという不安がなくなりました。
次に、自分の所属先を失えたことです。
望めば新しい所属を手に入れられる、という経験は、「所属なんて些末なものである」ということを私に教えてくれました。
そうすると、組織の中での自分の立ち位置なんて関係なく、
自分の仕事をすればいい、都合が悪くなれば都合の良いところにいけばよいのだ、という余裕ができました。
所属先なんて、自分の都合のいい場所を選び続ければよくて、所属先に自分を選びつづけてもらう必要はありません。
また、自分の価値や給料の源泉が明確になる働き方を得たことです。
特許事務所では、売上で給料が決まります。
私の場合、最初こそ固定給にしていただいていますが、2,3年で売上連動制になるでしょう。
自分の給与の対価がわかると、地盤が固まったような感覚になります。
今はまだ、企業時代同様、給与に見合った価値を提供できていませんが、
「これだけ売り上げたら自分の提供価値と給与がイーブンになれる」と知っていることは大きいです。
最後に、自分の仕事に最大限集中できる環境と、負の感情にさらされる機会の少ない環境を得られたことです。
これはまさに、自分の求める環境を得られるチャンスである転職にこそなせるメリットです。
特許事務所はやるべき仕事が明確である分、極めて合理的に運営されていると思います。
組織も小さかったり、個人プレーが多いため、不要な会議が少なく、最低限のフローで仕事が進む印象です。
大きな組織である企業が抱える部署間のしがらみや、不要な作業に対する愚痴も聞きません。
(そもそも個人プレーなので愚痴を聞く機会もないというのもあるかもしれません)
まだまだ、この転職がよかったのか悪かったのか、わかりません。
今からの私次第です。
しかし、転職という経験は、
自分の進むべき道を明確にしてくれ、
自分はどこかにずっと属さなくていいという自由をくれました。
上記の不安を感じている方がいれば、一度転職で得られるメリットを考えてみると、何かいいことがあるかもしれません。
お役に立てばうれしいです。
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